はれのひ問題で考える、子どもの習い事~アウトソーシングすることのリスク~
大切な娘さんの晴れ着姿を楽しみにしていたご両親、お気に入りのお着物を着て、成人式への参列を心待ちにしていたみなさん。
成人式の前の日、娘の7才のお祝で着物を着せて七草の行事に参列してきた親として、被害にあわれた方々のお気持ちを思うと本当にいたたまれない思いでいっぱいです。
成人式の準備は数年前から始まると聞きます。
予約も2年前ぐらいからしておかないと、とれないとか、朝の4時という早朝しか空いていないとか、そんな状況のようです。(鹿児島の着付けの先生に伺いました)
また、会社の終わりというのが、あのように、大切なお客様の記念日を台無しにしてしまうほど突然のものなのだ、ということにも驚きました。
年末年始で読んでいた本の内容と、1月7日七草のお祝いで、私が娘の着物を自分で着せてみようとしたことに、今回の問題がリンクし、ちょっとした気づきがあったのでここに記しておきたいと思います。
今回、晴れ着レンタルから着付けまでをご予約、もしくはご自身の、そしてお母様もお着物を預け、親子で着付けをご予約されていた方々もいらっしゃいました。
ご自身の大切なお着物まで返されていないという事態。
もう、本当に信じられませんよね 涙。。
もし、昔のように、自分たちで着付けができたら、、大切なお着物を預けたのに手元に返ってこないなんていう悲しいことにはならなかったんだよなぁともふと思ったわけです。
もちろん、着付けを自分たちでする、というのはなかなか現実的な話ではないかもしれません。
お着物をレンタルされる方も多いでしょうし、
振袖やつけ下げの着付けは技術のいるものです。
手間もかかります。
ただ、今回読んだ本の中に、「アウトソーシングすることのリスク」について書いてあったので、考えてみました。
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ
- 作者: Clayton M. Christensen,James Allworth,Karen Dillon
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2013/03/29
- メディア: Kindle版
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よそにお願いする、委託する、アウトソーシングするということは、それだけ楽になる分、リスクもあるということを私たちは覚えていなければならないこと、そして特に子どもに関してのアウトソーシングは慎重に決めなければならないと思いました。
今回の場合でいうと、信頼のおける着付け師さんを探しておくというのも安心ですね。
(だけど、着物離れしている私たちにはなかなかそんな情報は手に入れられないかもしれません。。)
本の中では、企業が自社の製品・サービス(能力)の一部を、効率・数字を優先してアウトソーシングし始め、ついにはその製品の中身がまるごと他社のものになりオリジナリティがなくなった失敗例をあげながら、家庭については特に習い事(アウトソーシング)についての危惧が書いてありました。
豊かな社会では、家庭の仕事の多くを安く業者や器械にアウトソーシングできるようになりましたが、昔は家庭の仕事(裁縫や時間のかかる洗濯やアイロン、掃除などの家事、畑仕事など)が多くあり、子どももそれを担っていました。その活動を親子ですることを通して、子どもは親の行動から親の価値観(大切にしていること、人生で優先する考え方)を、自分のタイミングで、親のそばで親から学んでいた、と。
今回、娘の着付けを自分でしようと思い、準備しました。それは手間の多くかかることでした(途中で、なんで自分でしようと思ったんだろう、、と後悔したほど 笑)
半衿も自分で縫いました!
ですが、その準備を通して、娘と息子ととてもよい時間を過ごすことができたのです。
着物についての話や、用意してくれた曾祖母の話、四苦八苦しながらの娘との家での着付けの練習。
→ 私たちには、「こどもたちにはこんな大人になってほしい」と思う重要な価値観や優先事項があると思います。それは、私たちの行動を通して、子どもたちは親のそばで学んでいくということですね。
家庭の仕事が減ったことでできた時間を習い事で埋めている近年の家庭。
子どもに必要なのは、新しいスキルをたくさん学ぶことではない。
子どもには困難な挑戦や、厳しい問題を解決させ、あなたが大切に思う、またその子が大切に思う「価値観」を養わせることが大切。
どれほど多くの経験をさせても、心から打ち込めるような機会を与えない限り、将来に必要な能力を身につけることはできない。また、子どもにこうした経験をさせる役割を他人任せにする、つまりアウトソーシングすれば、子どもが人生の困難に立ち向かうそのとき、あなたがそばにいてやれなければ、彼らの人生を方向づける、貴重な機会を逃すことになるのだ。
息子の場合でいうとたとえばスイミング。
泳げるようになる、というのが新しいスキルですね。
それとは別に、社会で役立つ力(将来必要な能力)、この子に必要な乗り越えるべき課題、私が身につけてほしいと思うもの(大切に思う価値観)というのは、
・泳げるようになるために、どんな工夫をして、どんな練習をするのか考える力
・気持ちがのらないときはどんな風に自分でモチベーションを保つのか考える力
・目標設定をする力
・目標を設定して達成したときの達成感や自尊心
・学校以外の異年齢の集団に身をおく経験
といったことかな。
これらを水泳を通して身につけてほしいと思ったら、そばにいてみていなくてはなりません。
やる気をもって泳いでいるのか?
先生はどんな指導をしているのか?
先生とどんなやりとりをしているのか?
いまどんなところで立ち止まっているのか?
進級できないのは、どんなところに問題があるのか?
やる気の問題?泳法の問題?目標設定の問題?
などなど。
これらを私の考え(価値観)を持って子どもとやりとりすることが、長い目で見た時、将来役立つ力になったり、私がこうなってほしいと思う大人としての行動に結びついていくのだ、と感じます。
それをしなかったら、、コーチの価値観が影響したり、とりあえずやってる、だったり、泳げるようになる(それだけが目的ならば良いですが)になるということですね。
手間かかりますね。
習い事もそもそも親のエゴになっていないかを見極めることすら難しいですが。。
だけど、そういうことだと思います。
アウトソーシング、せっかくするならば慎重に、目的を見失わないで。
アウトソーシングしても、大切な時はそばにいて子どもをしっかりみて、将来のために役立つ力をつけさせてあげられているか?の自問を忘れずにたいですね。
じゃないと、子どもの大切な時間も奪うことになってしまうと改めて思いました。
習い事だけではなく、日常生活の中での活動もこうした観点から見直していけそうですね。
リスクもしっかり 考えられる頭と、
結果を受け止められる器を持ちたいです。
長くなりました。。